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料理の本棚

寺沢大介

ミスター味っ子

講談社、少年マガジンコミックス Vol.1〜19 (1987〜1990)

我が家全員愛読の料理コミックスです。
1996/11/23
ここ10年程度前から料理マンガがメジャーになってきた。現在(1996)その筆頭といえば「美味しんぼ」であろう。当然このコミックスも我が家には全巻揃っているが、私の本棚で敢えて「ミスター味っ子」を取り上げた。それは「美味しんぼ」は確かにグルメ追求のみならず環境問題などを巧みに取り入れているのだが、それゆえに劇画的になりすぎて、荒唐無稽さが失われている。これに対して「ミスター味っ子」は子供でもすぐに変だな、と思わせる荒唐無稽なストーリーにもかかわらず楽しめるのである。これぞコミックといってもいい。

何が荒唐無稽かというと、例えば、Vol.15 第6話「おでんのダシの秘密」p.105〜144。

有名な超高級おでん店「伝政(でんまさ)」の主が後一ヶ月の命と宣告をされる。その主は昔目をかけていたが飛び出した安二郎に跡目を継がせると宣言するも周囲が納得せず。秘伝のだしを再現したおでんをつくれれば認めてもよい、となる。当然弟子達もそのだしの秘密は知らない。主人公の味っ子陽一と安二郎はだしの秘密をとくべく様々なだしを作るも後一歩及ばない。苦悩している間にひょっんなヒントから秘伝の素である「鯨の背脂、コロ」をついに発見し、伝政のだしの再現に成功。さらに具で伝政を越える工夫を盛り込む。味見勝負の日、伝政の常連客が味見役として参加。味見役が次々と味の秘密に触れながら絶賛してゆく...。
この味見役のコメントが非常に的確であり、かつ一口味わっただけでその味の組立まで言及してしまうのである。主人公の陽一達が何日も何週間もかかって作り上げてきた味を、だ。常識的にはこのような鋭敏な舌の持ち主達であれば、素晴らしい料理も作れるはずだ。まして料理人であれば、その程度の舌は持ち合わせているのだが、味見役には全然及ばない。ちょっと考えればおかしいのだ。

その彼らの的確な味見で陽一達が苦労して作り上げてきた味をリフレインする。この瞬間は、時代劇で言えば水戸のご隠居の配下の角さん助さんがあの印篭を「ずいっ」と差し出す瞬間と同じであろう。このリフレインがまた我々をも楽しませてくれるのである。秘密の味を発見したあの興奮を味見達にまたしゃべらせることにより、より確かな味が読んでいる物に伝えられるのである。

またこのコミックはアクションがオーバーであり、かつ料理の手法はオーソドックスな手法ではなくアッと驚く組み合わせで迫る。そして最後には必ず味見役が最終判断を下す。このパターンは変わらない。それでいいのである。時代劇では必ず正義は最後に勝つパターン、ジャイアント馬場が反則技に怒り、最後の最後にふんばって十六文キックで必ず相手をたおす、そんな紋切りパターンが我々読者を安心させて楽しませてくれるのだから。

それでも日常の料理のヒントがちりばめられている。Vol.16 第8話「お母さんの味」p.145〜164。

亡くなったお母さんの作った脂臭さのない鳥スープの茶碗蒸しに今一歩せまれず悩む同級生の助っ人として登場。陽一はその秘密が鳥スープの脂の取り方にあったことを発見する。鳥スープをいったん牛乳パックにつめ、凍らせることにより脂とスープが分離して、上部に固まった脂を取り除くことにより、透き通った脂のないすっきりした鳥スープがとれる方法だ。
この方法は丸元淑生著「新・家庭料理」P.24-29にも詳細解説されている。私はこの方法はこの「ミスター味っ子」で知った。発行は1989.9.16。当時シリーズが発売される度に購入してきていたので間違いなくこちらの本で先に知った。「新・家庭料理」の発行は1986.6.1。この方法の真の発見者が誰かは私には特定できない。しかし素晴らしい方法であることは間違いがなく、私は味っ子で知った方法にさらに詳細な方法を開示している丸元さんの本からこのスープストックを6年前から作るにいたっている。このスープストックで作ったスープ、カレーなどは絶品である。一度試してみてもらいたい。

うんちくはどうでもいいのだが、この「ミスター味っ子」を見た子供達から来るリクエストがちょっと恐かったこともある。それ以上に我が家全員で何回も楽しんでいる料理参考書でもある。

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